とにかく行動を起こして微生物への関心を高めていく
微生物の世界に無限の可能性を感じている伊藤さん。世の中を変えたいという想いは尽きません。
──以前と比べれば、都市部でも自然との共生への意識が高まってきているのではないでしょうか。
「いろいろな方向から、同時に攻めるのがいいと思います。理解してくださる方々と一緒に議論し、生まれたアイデアを最新の技術で社会実装していけば、世の中が変わっていくはずです」
──森作りも畑作りも多様性が見直されてきています。効率を追求するだけでなく、植物そのものが持っている機能をうまく取り入れて、共生して育てるという考えも広まってきました。社会全体がこういった流れがあり、微生物にも多様性が必要だという声も以前より届きやすいのかもしれませんね。
「そうだとありがたいですね。やはり目に見えないから評価しづらいものだと思いますけど、生態系として大切な存在なんだって認識が強まってくれればいいですね」
──都市生活を送る人にその感覚を呼び覚ますには、どうすればよいでしょうか。
「本当に難しいです。その答えをずっと追い求めています。免疫機能が正常に働いて体内に侵入してきた有害物質を排除する『免疫寛容』も長いスパンで獲得できる話ですし、都市部と田舎で育った子供の体質なんかも比較するコホート実験はしづらいですから。そういう論文はあっても、身近に実感できないんですよね。」
──バイオ系企業共有の悩みなのかもしれませんね。
「ユーグレナはすごい近いなと思っていて。ユーグレナ自体も効果が明確に実感しづらいものかもしれませんが、上手に商品の価値を伝えるコミュニケーションを取っているんです。わたしも、そうしたところからうまく学んでいきたいですね」
──事業としても大きくされていく?
「そうですね。都市にはさまざまなステークホルダーがいるので、彼らと握り合ってしっかり巻き込んで、研究でクオリティの高いエビデンスを提供しつつ、どんどん社会に浸透するカタチにしていかなければいけないと考えています」

Writer(ライター) / Hiroyuki Yokoyama
横山博之
2000年に日本大学芸術学部文芸学科を卒業後、フリーランスのライターとして活動を開始。カバン、時計、ファッションと男のライフスタイルを彩るモノに詳しく、デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビューも豊富にこなす。時代を塗り替えるイノベーティブなテクノロジーやカルチャーにも目を向けている。
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