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“服のリサイクル”の実情 || 門倉建造 / 門倉貿易株式会社 代表取締役

2021.03.20|ARTICLE

 

再生資源として回収された繊維製品の約35%が一般廃棄物として処分されている

 

優しい口調で丁寧に解説してくれる門倉さん。細かい数字が記載されている資料をもとに、再生資源として改修された繊維製品の行く末を教えてくれました。

 

 

──一般に、再生資源として回収された繊維製品は、選別後にどう振り分けられているんですか?

 

「先ほどの調査結果を元にお話しますと、回収された衣料ののうち、約35%が古着、約30%がウエス、約20%が反毛原料として再利用されています。残り約15%が残念ながらリサイクルされずに、一般廃棄物として処理されています」

 

──古着としてリユースされる割合は高いんですね。

 

「そうですね。リユースするうちの97%が国外へ輸出されとります。日本人は非常に良い衣服を大事に使っていますんで、バングラデシュやパキスタン、インドネシア、アフリカの人々からは『非常に丈夫で品質がよい古着を安く手に入れられる』と高い評価を得ております。面白い話なんですけども、インドネシアなんかじゃ現地で縫製された新品よりも日本製の古着のほうが値段が高いんです。インドネシアで縫製された洋服は10回も洗うと色落ちする、縫製もほつれてくるというんです」

 

「日本人の『モノを大切にする』『モノにこだわりがある』という点で、日本の古着はその程度ではなんの問題も起きないので、海外でも評価されとるということですね。うちは小野市にある別工場を物流拠点にしとりまして、40フィートのコンテナで24トン、20フィートの場合は11トン分の衣料をギュッと詰め込んで出しとるんです」

 

 

──輸出ビジネスとして定着しているんですね。

 

「ただ、なにも問題がないわけではありまへん。昔は大きなマーケットだった中国は大国としてのプライドからか、今では輸入規制しとりますし、日本国内の物流費は高騰する一方で商売のネックになっています。それに最近は韓国やマレーシアの古着選別業者も育ってきていて、我々と同じようなビジネスを始めてますね。小さい穴なら問題ないわって感じで日本の古着とは品質が違いますが、売れなかったら二束三文で叩き売りますから。彼らの登場で中古衣料の値段が崩れてきているというのも、問題視されてきておりますね」

 

──資源回収されてからでも、国内向けの古着としてリユースされるルートがあるのは意外でした。

 

「だいたいは我々の元に来る前にフリマアプリに出品したり、業者に売りに出したりするんでしょうけどそれがすべてではありませんね。国内の古着ショップのみなさん、我々の工場に来て、状態のいい服を選んで持って帰りますよ。全体のうちの2~3%程度ですけども。消耗品、実用品として活用されている海外の古着市場と違い、国内の場合、古着は嗜好品ですから。主に買われるのがファッションに敏感な若者なんで、流行に左右されて、昨日まで売れたのが今日は売れなくなっちゃうこともある。特に最近は非常に安く服が買えますから、ヴィンテージとか価値のある古着でないと売れにくくなってるというのが実情ですね」

 

 

──次に多いのがウエスですね。一般消費者からするとあまり想像がつかないのですが、それほど高い需要のあるものなんでしょうか。

 

「なかなか馴染みがないと思います。ウエス、これは機械を拭くための綿の雑巾ですね。たとえば印刷機械のローラーに残ったインクや工作に使う旋盤の油を拭き取ったりに使うものですね。なぜ古着を使うかというと、吸収力が優れているからなんです。風呂上がりに買ったばかりのタオルを使うと、水を弾いてあまり吸ってくれへんこと、なかったですか? ところが何回か洗濯していくうちに、吸水性がよくなってくる。これは綿の繊維が適度にほぐれてくるから。これを人工的に作ろうと思ったら、ものすごくコストかかるんです。ヨレヨレで捨てる寸前に思える綿の繊維製品ほど吸収力がよくて、我々としたら最高の状態なんですよ」

 

「もちろん服の状態では拭きづらいから、ボタンやホックを外したり生地を切ったりして一枚の布状に加工します。価格は色によって違っていて、一番高いのが白、一番安いのが黒系。日本のほとんどの工場ではウエスが使われていて、我々の製品も多くの工場でお使いいただいています。そもそも当社は1946年の設立当初、ウエスを欧米向けに輸出していて、10数年前からは自らも製造するようになりました。それで長年、リサイクル業界を見続けてきたんです。あの頃はみんな綿の洋服を着ていて、古着業者が各家庭を回って1キロいくらで買いに回っていたもんです」

 

──状態のいいものは衣類としてリユースする。そうでなければウエスとして再利用する。その流れが昔からあったわけですね。

 

「はい。ただウエスの取引もバラ色かと言うと、一概にはいえなくなってきています。海外移転が進んでウエスを必要とする国内工場は減ってきとりますし、工作機械が高性能化して以前のようにはウエスがいらなくなってきているんです」

 

──あとは、反毛という再利用方法が。

 

「この言葉、はじめて聞くという人もいるかもしれへんですね。生地というのは、繊維を撚った糸を編んだり織り込んだりして作るわけですが、反毛というのは生地をバラして繊維に戻すことをいいます。まずは開繊と呼ばれる工程で、小さな針が無数に付いたシリンダー中に衣料を通し、繊維を引っ掻いていきます。これを6シリンダー分くらい繰り返して、どんどんと小さな繊維にしていくんですね」

 

「その次がフェルト加工。フリースマシンやカード機を使ってほどいた繊維をフェルトにしていきます。これら反毛素材がなにに使われているかというと、自動車の内装材だったり、産業廃棄物処理場で廃液を漏れ出さないための緩衝材だったりですね。ただ、この反毛の製造はすべて機械で行えるため、人件費の安い中国から格安のフェルトが出されていまして、競争力の点では厳しいところがあります」

 

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Credit
Photo_Ryo Yoshihashi
Text_Hiroyuki Yokoyama
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