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地域を循環させる『ネイティブスケープ』の仲介役を果たしていきたい || 白水高広 / うなぎの寝床代表

2021.03.15|ARTICLE

 

──“地域文化商社”をやられているとのことですが、これはどういったことを示しているんですか?

「僕たちで考えた言葉なのですが、『ある一定地域における(地域)土地と人、人と人が関わりあい、生まれる現象の総体(文化)』を表しています。まずは地域文化を理解した上で、文化の担い手に継続する意思があれば、今の時代のおける活用法を一緒に考えます。そして、現代社会に受け入れられる形で地域文化の魅力を発信し、経済が循環する仕組みを構築。それが地域文化全体に利益をもたらすという仕組みです」

 

──なかなかに大きなテーマですね。ただ商売を営むには、売り上げが見込めなければ成り立たないと思うんです。その点はいかがですか?

「『どういう土地で作られているのか?』『どういう作り手が手掛けているのか?』を重視し、ちゃんと経済を回せるかどうかを見極めて仕入れています。商社って、『AとBのギャップを埋める仕事』だそうなんですよ。だから僕ら“地域文化商社”の仕事は、地域が産み落とした文化と、マーケットの間にあるギャップを埋めること。どちらかといえばプロダクトアウト型で、モノの価値がちゃんと伝わるよう情報を埋めていくイメージですね」

──なるほど。モノの本来の価値を正しく伝えていく、というわけですね。

「そうですね。それでちゃんと経済を回せれば地域文化の継承も果たされ、うまく循環するようになります。バリューエンジニアリングの考え方では、価値は価格を落とすか、機能をあげるかしかありません。僕はそれだけじゃなくて、モノが生まれた地域の歴史的背景や受け継がれてきた技術、思想といった文化的な側面も立派な価値だと思うんですよね。そうした地域文化の魅力をきちんと伝えることで経済性をどれだけ補えるのか、挑戦しているんです」

 

──情報が発達されたように思える今でも、地域文化の魅力はなかなか伝わらないと。

「地方におもしろい人たちがいることに気づいても、実際はなかなかアクセスできないんですね。それも、インターネットに情報がなければ『存在していない』のと同じになってしまう。だから、そうした地方のおもしろさをみんなに教えてあげて、顕在化させるのが僕らの仕事なんです」

──どうすれば顕在化できますかね?

「都市や他地域と、地域文化とが、循環することですね。よく『ローカル』といわれますけど、これは『都市でない場所』を示すだけで、あまり意味のある言葉ではありません。その土地らしさを言い表すなら、『ネイティブ』がふさわしい。さらにはうちでは、過去の文脈を汲み取りながら未来につなげる意思を持った人たちが営む風景を『ネイティブスケープ』と呼んでいます。具体的には、土地の環境や特性を踏まえて作り手がモノを生み出し、それを問屋・流通業者が小売業に卸して生活者の手に届けます。さらにモノを手にした生活者は、それが生まれた土地にまで興味を持ち、情報をリサーチしたり旅行に訪れたりして文化交流を深め、その土地で暮らす作り手の生活環境も向上していく。そんな循環を思い描いています」

 


継承か収束か。選択を迫られている地域文化

もともとは佐賀で生まれ、18歳からは大分大学工学部で建築や都市計画を勉強していたという白水さん。すぐにうなぎの寝床を起業したわけではなく、とあるきっかけで、地域文化に眠る価値に気付かされたといいます。


──"地域文化商社"をはじめたのは、どういった経緯なんですか?

「僕が大学生のころ、世の中は物質的に満たされていて、建築分野ではリノベーションがもてはやされていた時代でした。新たに作るより、すでにある資源から価値あるものを見つけ出そうというのは、今のうなぎの寝床でやっていることにつながっているかもしれません」

──そこに原点があったんですね。

「とはいえ、すぐに起業したわけじゃないんですよ。大学卒業後、仲間はみんな建築事務所や建設会社、都市計画コンサルに就職していくんですけど、なにか違いを感じて、気の合う仲間と3人でグラフィックデザインの仕事をはじめました。しばらくすると、若者だけでの活動が珍しかったのか、福岡県庁の方から声を掛けられまして。『九州ちくご元気計画』という、筑後地域において雇用創出を目指すプロジェクトへの参加を持ちかけられ、面白そうだったので2009年から2年半の間、協力することになったんです」

 

 

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Credit
Photo_Kozi Hayakawa
Text_Hiroyuki Yokoyama
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