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地域を循環させる『ネイティブスケープ』の仲介役を果たしていきたい || 白水高広 / うなぎの寝床代表

2021.03.15|ARTICLE

 

──Meguriwa(めぐりわ)では、これからの時代に向けた循環型社会を目指していくなか、化石燃料からの脱却などサステナブルな製品の選択など、さまざまな考え方を模索しています。白水さんご自身は、これからモノの価値や在り方について、どうとらえていますか?

「関心が高まる一方で、どうしていいか、どこから手を付けていいのか、わからない人はけっこう多いんじゃないでしょうか。僕個人としては、無駄なモノは買わない、無駄遣いしないといった基本を大切にしています。けど、実際のビジネスや政策的なところではどのようなスタンスをとればいいのか、難しい部分はけっこう多いですよね。僕もいろいろな産地を巡っては、サステナビリティやサーキュラー・エコノミーについて話し合う機会が本当に多くて、意識の高まりを実感するんですけど、想いと行動の間にまだギャップがあるというのが実情のようです。ただ、自分ごととして捉えなければ何も変わらない、ということだけはいえると思います。ちょっとしたことからでも動き出さなければ、変化は生まれません。そうそう悩みは尽きないでしょうけどね」

 

──自分ごとにする大切さというのは、体験を通じて地域文化を知ろうという地域交流とも共通しますね。

「たしかにそうですね。みなが自分ごととして地域文化や自然をとらえることができれば、世の中の仕組みが変わってくると思います。僕だって18年間佐賀で暮らしていましたけど、今の事業をはじめるまでは地元産業をまったく知りませんでしたから。自分が認識できる範囲を増やせば、それだけ可能性が広がるのだと思います」

 

──地域文化や自然を切り離してきた都市部の人々も、認識を深めれば自分の中の可能性が広がるかもしれませんね。

「地域あっての都市でもあり、お互いを補完しあえるように意識していきたいですよね。特に現在は、インターネットという、都市と地域をわたす橋になる便利なツールが存在しています。僕らも、インターネットがなければうなぎの寝床はやれていなかったでしょう。都市と地域をうまくつなげば、『ネイティブスケープ』を循環させる格好の潤滑油になるはずなんです」

──これから、都市と地域の関係はどのようになっていくべきでしょうか?

「一般的に、都市が上で地方が下というふうに見られがちですけど、今後は場面場面で逆転していくと思っています。『環境が豊かだけど資本が弱い』のが地方ですが、それ自体が評価されるときがくるでしょう。ちょっと環境が整えれば、地方のほうが働きやすくもなる。都市生活に疑問を持ち始めている人は増えていますし、都市を選ぶ理由は相対的に減っていくのではないでしょうか。もちろん、だからといって地方に大量の人が流れてくれば話が変わってきますので、バランスの問題ではありますけども」

 


何を残して何を変えていくか、今後もきちんと考え続けていく

2020年のコロナ禍はうなぎの寝床にも直撃。「一時は潰れることも覚悟した」といいますが、休業中はたまっていた情報の整理やウェブサイトのリニューアルに労力を当てることができ、営業再開後は一気に売り上げが回復して増収増益を記録。この結果を、「今までやってきたことが間違っていなかった」証拠だと白水さんは考えています。

──昨今はコロナなどいろいろな騒ぎがありました。地域文化の状況はいかがでしょうか?

「本当に小さい規模メーカーはそこまで影響を受けていないのですが、業界として伸張したアウトドアやキッチンウェア、刃物関連以外の中規模メーカーは、破壊的被害を受けたところが少なくありません。なかでも直接顧客とコミュニケーションする機会がなく、百貨店や商業施設に卸していただけのメーカーは、特に影響が大きいようです。文化を継承しながらも、現代社会に対応できていたかどうかが分水嶺になりました。このような急激な社会情勢の変化は、今後もコロナに限らずに起こり得ます。何を残して何を変えていくか、今後もきちんと考え続けていくことが重要だと再認識しました」

──今後は、どういった事業に注力していくおつもりですか?

「ツーリズムを定着させていきたいですね。2棟3部屋の宿経営もはじめますので。また、今後は食にも取り組んでいきたいと考えています。ツーリズムと食は、やっぱり切り離せない関係ですから。さらにその先では、お祭りにまで関わっていければと考えていますね」

──想いが広がりますね。これからの活躍を楽しみにしています。

 

 

 

Profile
Writer(ライター) / Hiroyuki Yokoyama

Writer(ライター) / Hiroyuki Yokoyama

横山博之
2000年に日本大学芸術学部文芸学科を卒業後、フリーランスのライターとして活動を開始。カバン、時計、ファッションと男のライフスタイルを彩るモノに詳しく、デザイナーや職人などモノづくりに関わるキーパーソンへのインタビューも豊富にこなす。時代を塗り替えるイノベーティブなテクノロジーやカルチャーにも目を向けている。

https://www.instagram.com/yokoyama_hiroyuki/
https://www.facebook.com/163063713746624/

 

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Credit
Photo_Kozi Hayakawa
Text_Hiroyuki Yokoyama
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